続きが気になる最近の漫画たち

また更新が滞った。最近は昔より漫画を読むことが多くなったので、今日は最近読んで続きが楽しみな漫画なんかを載せていく。というか、これは書籍リンクとかの実験もかねる感じで。メモ代わりに使っているところもあるので、あまり気の利いたことはいえないかもしれない。


モテキ 3 (イブニングKC)

モテキ 3 (イブニングKC)

まずは『モテキ』。現在三巻まで刊行。作者の久保ミツロウ(女性)の作品は、田舎から出て来た高校の応援部がひょんなことからホストをやることになる『3.3.7ビョーシ!!』や、海上保安庁海猿とかで一時期話題になったやつです)の特殊救難隊をテーマにした『トッキュー!!』の頃から大好きなのだが、その理由はいくつかある。まず、久保氏の描く女の子はダントツに可愛い。少年誌的な分かりやすさと、少女漫画にある線の多い美少女の丁度真ん中というか、この辺は男性誌に連載している女性作家という立ち位置の成せる業なんだろうか。これは完全に好みの問題だけれども。そして、登場キャラクターの女性が物凄く人間臭い。別にこれが女の子の本性を的確に描写しているわけではないのだけれど、主人公の男性キャラクターの描写としっかり書き分けて、女性キャラクターの描写との双方向性が「面白おかしくずらされた形で」保たれている。


そんな作者が今回の『モテキ』で、自意識過剰で勘違いなのに気が弱くて踏み出せない男の複数の女性とのすれ違いを描いたラブ+コメディに挑戦して、面白くないわけがない!「俺にもモテ期が来たんじゃないか!」→「俺なんてどうせ・・・」を独りよがりに往復する男と、「この人何考えてんだかわかんない、はっきりしろよ!」という女の子達。その男女のディスコミュニケーションがこれでもかというばかりに丁寧に書き上げられていて、まさに素晴らしいまでの「痛さ」である。痛い、痛い、本当に痛い。彼の行動が痛いだけでなく、僕のような非モテ男子にとっては、「こいつ痛いなー」と笑っていられないどころか、その痛さを理解できたうえで丁寧に描かれている分読んでいるこちらにもダメージは激しく、二重に痛い。しかし、こちらとしては、彼を見守ることしかできないのである。続きが気になるー。しかし、前二作は何か不意を打った様に物語が終了しているので、今回はそういうのはないといいな・・・そういえば今回のタイトルには前二作についていた『!!』がなくなっているが、確かに『モテキ!!』とすると非常に暑苦しい。青年誌初連載ということで少し落ち着いた感じにしたのだろうか(笑)ちなみに僕は土井亜紀派。


アイアムアヒーロー 2 (ビッグコミックス)

アイアムアヒーロー 2 (ビッグコミックス)

続いて『アイアムアヒーロー』。現在二巻まで刊行。もうこれは本当にね、めちゃくちゃ驚いた。花沢健吾の作風は『ルサンチマン』や『ボーイズ・オン・ザ・ラン』(映画化されましたねー)なんかでなんとなく自分の中で前提としているものがあったんだよな。もてない男子のもがく姿みたいな。そういえば最近俺こういう漫画ばっかり読んでるな、痛い。それを見事にひっくり返された。あまりネタばれはしたくないので直接的な表現は避けるけど、単行本一巻を読み終わったあとに、確実にもう一度読み返してしまう類の漫画。一巻のラスト、まさに「どうしてこうなった」的状況。もう一度じっくりと読み返してみる。そうすると、あらゆるところに日常生活の綻び、非日常の侵入が発見できる。花沢の作風に対する自分の中の前提(ある意味花沢漫画の「日常」)、そして漫画の中の日常生活、この二つが一気にひっくり返される(臨界を迎える)瞬間は、圧巻。TVCMのタイミングなどと同様に、わけの分からない展開を見せ付けられると続きが気になるのは人間の性のようで、今一番続きが気になる漫画。


考えてみれば初連載の『ルサンチマン』も、現実世界と交錯するヴァーチャルな(非現実的な)世界の少女との関係を描いたある意味「変化球」であったことを考えれば、『ボーイズ〜』はこの人に珍しい「ド直球」だったのかもしれないなー、とにかく楽しみ。


きのう何食べた?(1) (モーニング KC)

きのう何食べた?(1) (モーニング KC)

最後、『昨日何食べた?』。まだ一巻までしか呼んでませんが、三巻まで出てます。しかし、よしながふみの描く人物はなぜこんなにも年齢不詳なのだろう。ほぼ全員、全く年齢が分からない。内容に関しては同じ作者の『大奥』のほうがずっと面白いが、この漫画を読んで感じたことが一つある。それは、家事というカテゴリの中に存在する意味での「料理」は、実はその中で随分特異なものなのだな、ということ。この漫画の大きな要素は「料理」と「ゲイ」なのだけれど、前者を描写する際に人物の思考の過程が仔細に記されていることで、「料理って、効率性とかバランスとか、本当に色々と考えてするもんなんだな」と素直に感心した。スーパーでの野菜の相場とか、作業手順とか、家事全般が(子育てをそこから除外するとして)ありふれた退屈なものとして捉えられがちな一方で、料理に関しては本当に色々と頭を働かせている。しかしあくまで描かれるのはプロの料理ではなく、家事としての料理。この視点が面白いなー。しかし、もう少し料理とゲイがつながってくるようなストーリーがあってもいいのでは。変な想像しか浮かばないけど(笑)料理をしているコマが何か三分クッキングのように独立している感じになってしまうのはやはり寂しい。その点、次の巻に期待。


どうでもいいけど、うちの家庭は両親ともども料理が得意であるが、それを教えるのが壊滅的に苦手なようで、あまり手伝わせてもらえない。少しでも失敗しそうになると彼らが勝手にやってしまう。おかげで毎日美味しい料理を食べさせていただいているが、姉と僕は全く料理ができない。四月からはどうなることやら。しかし、よしなが的な調理風景の描き方を僕がすごく気に入ったのは、それがすごくロジカルなものに見えたからだ。勿論、愛情とか経験とか、そういうのも物凄く重要になってくるのだろうけど。やってみようかな、料理。